SIMODA 100th Anniversary 1924-2024

海外駐在者 座談会

Shimoda’s Global
Strategy

海外拠点駐在者が語る
グローバルビジネスの展望と海外での働き方

下田工業の海外拠点で活躍する3名に、今後グローバルビジネスを加速させるために必要なことや、
海外で働く上でのポイントを語ってもらいました。

  • 海外統括 海外2部
    シモダ(マレーシア)株式会社
    (以下SMS)

    八木 規彦

    SMS(マレーシア)現地法人の拠点長として、営業から会社運営、人材教育を担当し、現在はアメリカ拠点の登記、開設準備等を進めている。

  • 海外統括 海外1部
    下田(香港)有限公司 (以下SHK)

    浜渕 栄一

    SHK(香港)の総経理課長として、営業、会計、総務など拠点運営に必要な様々なことを担当している。

  • 海外統括 海外1部
    下田(香港)有限公司
    (以下SHK)
    ドイツ ハンブルグ駐在

    桝井 健太郎

    SHK(香港)の欧州駐在員として、ドイツに事務所を設立し、取引先との交渉や物流スキームの検討など、事業拡大に向けて活動をしている。

Theme 01

海外ビジネスにおける下田工業の強みとは?

浜渕

私は中国で活動していますが、中国では「商社」という存在がなかなか理解されない環境なので、私たちが日本の大手メーカーの代理店であることは強みになっています。また、介護や農業など事業領域が多角化していることも、会社の将来性をアピールできるという意味でアドバンテージになっていると思います。

桝井

私も同じ考えですが、優良な取引先と長年にわたりビジネスを継続していることが強みだと思います。海外で初めて訪問するお客様にも、信頼していただけた状態からスタートできるというのは大きいですね。

八木

お二人が所属するSHK(香港)はマーケットやお客様の製造ボリュームが大きく、サプライヤーも多いので魅力的ですよね。優秀なナショナルスタッフも多いですし、中国内の他拠点も含め、下田中国が一体となってみなさんが活躍できていると思います。私は、海外ビジネスにおいて下田工業に特別な強みがあるとは考えていませんでしたが、近年、在庫に対する考え方や海外拠点の運営についての考え方が柔軟になってきたことで、新たなビジネスモデルが生まれ、時代やマーケットのニーズに答えやすくなっているなと感じています。

浜渕

八木さんが拠点長をされているマレーシアは、市場が他の地域と比べてそこまで大きくないので、逆に中国やタイ、ヨーロッパ、インドネシアなど各国に営業活動を行っているのが他拠点と違いますよね。国によって慣習や法律、言語などが異なる中で対応されているスタッフの皆さんの優秀さも印象的です。

桝井

それと、拠点の強みとは少し違いますが、八木さんは人脈をつくるのが非常に上手ですよね。得意なゴルフをうまく活かされている。八木さんとは同い年ですが、私とは性格が真逆なので、いつもすごいなと思っています。笑

八木

同い年なので私も桝井さんにはシンパシーを感じています。SMS(マレーシア)は、スタッフはみんな優秀ですね。職場環境も良いですし、たとえば日本から新しい駐在員が来たとしても困ることはないと思います。スタッフの教育については強みと言えると思います。

浜渕

八木さんは間もなくアメリカに行かれますよね。新しいことに挑戦している姿はすごく好感が持てますし、力になれることがあれば随時協力していきたいです。

桝井

アメリカ拠点の設立によって、下田工業のビジネスチャンスは大きく広がると感じています。世界一の経済大国アメリカに拠点ができることで、会社のブランド力も高まりますし、採用面での効果も期待できます。未進出のエリアへの拠点設立ということで、情報を共有しつつ、相乗効果に繋げていきたいですね。

Theme 02

現在の課題や今後の改善点とは?

八木

下田工業として、グローバルマインドを持った人材の育成を必要としています。ただ、現状では一部の人材育成に限られているため、会社全体としてグローバル化があまり進んでいないことが課題だと思います。人材育成のためには、まず会社の風土を変えていくことが必要な気がしています。

桝井

そうですね。私も若手社員の海外駐在者が少ないと感じていて、20代後半から30代前半の若手に一度海外駐在を経験してもらうことが必要かなと思います。それによって社員の視野が広がりますし、会社の発展に寄与できる人も増えると思います。

八木

そういう意味では、今期から始まった新入社員の海外研修は良い制度ですよね。ただ、その経験を活かせるかが重要で、ポテンシャルのある人材が埋もれないような仕組みや、よりたくさんの人が海外取引に関われるような仕組みも必要だと思います。

浜渕

少し違う話ですが、昔は中国や東南アジアでは低賃金で雇用し、現地に日本人の慣習を押しつけて仕事をするような時代があったと思うんです。でもアジアで実際に仕事をしてみると、ナショナルスタッフの優秀さに驚くことも多く、中国などは想像以上に豊かになっているので、古いやり方や考え方はもはや通用しません。そうした実情を理解して取り組むことも今後必要になると思いますね。

Theme 03

海外で働くうえでのポイントとは?

八木

浜渕さんがおっしゃるとおり、日本のやり方や文化を強要しないことが大事ですよね。その国の文化や民意を理解し、リスペクトすること。そして、外国人である私たちが何をもたらし、逆に何を受け入れるのかという判断が大事になると思います。ナショナルスタッフとの信頼関係の構築は私自身とても重視しています。業界や国籍を問わず、あらゆる人と交流することで、見識を広げていきたいと感じています。

浜渕

先ほどもお話したとおり、もはや日本の考え方で海外をコントロールする時代ではありません。100周年の節目にワールドスタンダードとはどういうことかを改めて考え、新たなステージへ移行していくことが必要だと思います。

桝井

そうですね。欧州にはまだナショナルスタッフはいませんが、働きやすい環境づくりやルールの整備は今後必要になるだろうと思っています。コロナ禍が収束した後も、欧州では毎週1〜2日の在宅勤務が常態化されていますし、残業に対する考え方にも違いがあります。それぞれの国や地域の考え方を尊重して取り組むことが必要ですね。

Theme 04

今後のグローバル展開に必要なこと

浜渕

今後は、新拠点設立のスピードが重要になると思います。拠点設立に時間がかかってしまうと、市場がレッドオーシャン化してしまうので。

桝井

私もスピード感が大事だと思いますね。取引先とのやり取りの中で、市場動向はいち早く察知できるので、商社としてフットワークを軽くして拠点展開をしていく必要があると思います。ドイツの拠点設立で言えば、構想から実現まで10年近くかかっています。時間がかかればかかるほど、進出したタイミングで商圏を確保できないというケースも増えると思うので。そういう意味では、現場サイドから新拠点設立のメリットを発信し続けることが必要かもしれません。海外統括部がそうした意見を吸い上げてサポートしてくれるようになると良いなと思います。

八木

私も同じ考えです。商社として、積極的に進出することには賛成です。でも、それらを支える人材がまだまだ足りないと感じているので、これまでにない部署を新たにつくり、そうした部署が評価されるような社内風土をつくることも必要だと思います。

桝井

それから、売上を増やすだけでなく、グローバル企業として下田工業の魅力を高めていくことも重要だと思います。私が駐在する欧州は、環境規制に対しての先駆者的な役割を担っているので、要求を満たす製品を拡販することで社会貢献をしていきたいです。

八木

そうですね。社員全員がグローバル企業の一員であるという意識で働いてほしいです。海外に拠点が増えたからグローバル企業だと考えるのではなく、社員一人ひとりのマインドを変えることや、他国の文化に対するリスペクトを持つことを通して、世界で愛される下田工業になっていきたいですよね。

浜渕

そうですね。私は、日頃から自分をアジア人だと考えています。より広い視野に立ち、上下関係や偏見などを持たずに仕事をしたいと思っているので。ヨーロッパで働くときは、地球人になります(笑)。

八木

私たち3人は海外駐在が長いから、感覚的には外国人に近いのかもしれませんね。日本で働く社員も、海外ビジネスに対する考え方や保守的な感覚は、今すぐにでも変わっていってほしいと感じますね。

桝井

私はドイツに渡ってから様々な面で苦労しています。でもそれと同時に、100年の歴史の中で拠点をつくってきた先輩方の苦労を想像し、感謝の気持ちを感じています。私たちも、後輩たちが世界で働ける土台をつくれるように日々努力していきたいですね。